インタヴューコラム~オイリュトミー福岡公演 ピアノ連弾奏者 篠原 桃子さん・金子 佳代子さん~
- ピアノ連弾
- オーケストラ
- ピアノソロ
- オイリュトミー
- インタビュー
2024年9月8日
篠原 桃子さん
オイリュトミーピアニスト、にも福岡公演ピアノ連弾奏者
金子 佳代子さん
オイリュトミーピアニスト、にも福岡公演ピアノ連弾奏者
インタビュアー 岩重 七重
オイリュトミスト、オイリュトミー講師
目次
ピアノ連弾の舞台、福岡公演を前に
オイリュトミー福岡公演 ピアノ連弾奏者である、篠原桃子さんと金子佳代子さんにお話を伺いました。
(S : 篠原桃子さん K: 金子佳代子さん I:インタヴュアー)
I: 8月の東京公演・愛知公演が終わり、ぼーっとする暇もなく、福岡公演です。
8月公演はオーケストラとの共演でしたが、福岡はいよいよピアノ連弾での舞台となりますね。
今のお気持ちを、お聞かせくださいますか?
K :これまでの長い道のりを思うと、福岡公演が締めくくりとなることに、とても感慨深いものがありますし、すごく楽しみです。
S : 東京公演までの長い間、ピアノと共に練習する中で、オーケストラの響きを想像し近づこうと励まれてきた皆さんが、東京公演ではようやくオーケストラと共に動かれている様子を観て、心から感動しました。
締めくくりとなる福岡公演では、連弾でご一緒できることを嬉しく思います。
「新世界より」のピアノ演奏体験とは
I: にもプロジェクトがずっとお世話になってきた大羽美菜子さん・金子佳代子さん・篠原桃子さんピアニストの3名は、日頃より各所でオイリュトミーのための演奏をしてくださっている方々ですが、改めてこの「新世界より」の演奏は、どんな体験なのでしょうか?
(*大羽美菜子さんはオランダ在。別途コラム「私の「新世界」より」を合わせてご覧ください)
S:この作品の演奏には大変な体力を要しますが、作品の力とオイリュトミーの力に助けられて、いつもエネルギーを引き出してもらってきたように思います。また、オーケストラ公演に向けて、三澤先生の指揮のもと演奏するという贅沢な時間を頂けて、その指揮に触発されて思いがけない表現ができたり、作品への理解が深まったりと、多くの学びがありました。
K:私は、他の二人のピアニストが最初から皆さんの練習の伴奏をしておられたのと違い、連弾のために途中から参加させていただきましたから、オイリュトミーの経過を共にする機会が少なくて、その点では入っていくのに難しさもありました。
「新世界より」の体験としては、この壮大な曲をこの規模で全楽章を通すということの取り組みは、大変価値あることと思いました。
オイリュトミーのためにオーケストラ楽曲をピアノで弾く
I : 大羽さんも書いてくださっていましたが、ピアニストの皆様は私たちのいないところで沢山の努力をしてくださっていたのですね!
そもそもオーケストラの曲をピアノでオイリュトミーのために弾くこと、また連弾で演奏することの困難や、面白さはありますか?
K:オーケストラの曲をピアノで弾くということは今までもしてきましたけど、オイリュトミーをオーケストラで、というのは特別な体験で、よりそれぞれの声部、その楽器の質を本当に深く考えるきっかけになりましたし、また全ての「声部」が出ればいいというわけではないという体験をしているところです。
また、ピアノソロでやる場合、ピアノソロと三澤さんの指揮がある場合、それと連弾でやる場合、連弾に指揮者がついている場合、それぞれの体験が全く違うことがよくわかりました。
三澤さんがいらっしゃる場合にはそれだけについていけばいいので、私たちもオーケストラの楽器になりやすいのですが、そうじゃない場合は、私たちは指揮者にもならなくてはいけないし、オイリュトミーも感じつつ音楽にも演奏者として没頭しなくてはならない、難しさはありますね。
しかも連弾だと二人の質を合わせて一人の人が弾いているかのように弾くということの難しさ、それはおそらくオイリュトミストも同じなのかなと思います。
26名がそれぞれの楽器だけれど一つの「新世界」というのを作るのに、それぞれの楽器でありつつ一人の人間のように現すというということが、両方同じなんじゃないかとう気持ちでやっています。それは醍醐味ですね、楽しみでもあるし。
S:私はソロヴァージョンと連弾で関わらせていただきましたが、どちらもオーケストラの印象や雰囲気を、ピアノではどうしたら効果的に表現できるのか試行錯誤するのは、やりがいのあることでした。
ソロの時は、もう一本だけでも腕があればと思いながらも、一人でオーケストラを担うという充足感がある一方で、連弾では、広い音域で多くのパートを取り込める醍醐味がありますが、個人としては担わない半分の音域があることで、心もとない感じになってしまう瞬間が度々ありました。
そこで金子さんと色々試す中で、互いに相手のパートを自分で弾いているかのように、内側で体験してみようと。すると今までにない一体感が生まれ、響きも豊かになるような気がして、ますます二人で弾く事が楽しみになってきそうです。
オイリュトミーの魅力・面白さ、福岡公演へ向けてのメッセージ
I : オイリュトミーもまさにそうありたいです!
福岡公演でも、初めてオイリュトミーを観てくださる方々がたくさんいらっしゃると嬉しいですが、福岡公演へ向けてピアニストのお二人から、オイリュトミーの魅力・面白さなどありましたら、メッセージをいただけますか?
S : 二度のオーケストラとの共演を経た皆さん、きっとピアノ連弾からでもいろいろな楽器の音色を想起させてくれて、オーケストラのうねりも感じさせてくれると思います。
そして、私たちもよりオーケストラティックな演奏で、オイリュトミーと通い合い響きあう舞台をお届けできたらと願っています。
K:ぜひ、観て聴いて、丸ごと体験してほしいと思います。オーケストラを体験したオイリュトミストたちと、今度はピアノ連弾で共演するときに、今までの連弾でのオイリュトミーとは違った新しい何かが生まれるんじゃないかという、期待感があります!ー私たちの演奏もそのようでありたいし。
I : お忙しい中、お答えくださり、本当にありがとうございました!
福岡公演、どうぞよろしくお願いいたします。
~インタヴューを終えて~
私たちオイリュトミストが、この壮大な「新世界より」全楽章に取り組むことができたのは、日々の練習を共にしてくださったピアニストたちのお陰です。
音源を聞いだだけでは聞き取れないパートや、パート同士の掛け合いを丁寧に取り出しては1日に何時間も、何年も、忍耐強く弾いてくださり、いつも真剣に、明るく、共に走ってくださいました。
実際、彼女たちのほとばしるような生き生きしたエネルギー溢れる演奏に、私たちは幾度となく鼓舞され、音の彼方への存在に気づかされ、そしてオイリュトミーとは何かという問いに、常に立ち返らせてくれました。
そんな私たちの大切なパートナーと共に、締めくくりとなる福岡公演をみなさまに観ていただけますことを、心から嬉しく思います。
福岡公演、ピアニストたちへの最大の感謝と畏敬の念を持って、にもオーケストラオイリュトミープロジェクトの精一杯を表現したいと思います。
(インタヴュアー 岩重 七重)
2024年9月 にもオイリュトミープロジェクト福岡公演に寄せて