オイリュトミーフォルム(動き)
- オイリュトミー
- 幾何学
- ドロテア ・ミアー
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- 故郷
2024年9月6日
MAKIKO
オイリュトミスト、オイリュトミー講師
目次
どのように人が動くか
ドイツで生まれて110年余りの、表現芸術オイリュトミー。なじみのない方も多いと思います。
オイリュトミーをする上でとても大切にされるのが、どのように人が動くか、ということです。空から下を見て、どのように人が動いているかを示したものがオイリュトミーフォルムです。オイリュトミーをする人は、音楽の作曲者や詩の作者の精神に近づくために作られたオイリュトミーの動き(フォルム)を、心にしっかりと取り込み、作品作りをしていくのです。
動きを線でつなげて天から見ると
私たちは普段、生活の必要やその時の気分で色々な方向に動いています。想像してみてください。私たちの今日一日の動きを線でつなげて天から見るとどうなるのか。仕事に行き、帰りにはスーパーに寄り、家を掃除し、料理をし、、きっと意味のない、ぐちゃぐちゃの線が入り乱れるでしょうね。
反面、私たちがオイリュトミーしている時の動きを天から見ると、それは円だったり、三角であったり、四角、星型、美しいカーブや渦巻きであったりするわけです。
その美しい、幾何学的にも意味ある動きをすることで、私たちは心を整えることができます。そしてその動きの美しさは、静かに周りに影響を与えていきます。
偉大なオイリュトミスト
さて、今回のオーケストラオイリュトミーの動き(フォルム)は、マリー・サーヴィッチ、ドロテア ・ミアーという二人の偉大なオイリュトミストによって作られました。
私はドロテア ・ミアーの東京でのワークショップに参加して衝撃を受け、オイリュトミストを志したものです。
その時、彼女はオイリュトミーフォルム(動き)を紙や黒板に描くことをせず、ショパンの曲に合わせて腕を動かし、身振りだけで人を前へ後ろへ、右へ左へと動かしました。わけもわからず動いていた私でしたが、それがショパンの曲そのものの動きであることを感じました。
望郷、「新世界より」のフォルム(動き)
そうしてドロテア・ミアーが教えるオイリュトミー学校に入った私は、アメリカ、しかもNYという特殊なエリアに衝撃を受けました。
色々な国籍、人種、宗教の人々が混ざり合い、スタンダードのないところで共に生きること。アメリカという広大な国に湧き上がるエネルギー。ふるさと日本への想いをつのらせた5年間でもありました。
ドヴォルザークはボヘミアから生活のためにNYに移り、交響曲「新世界より」を作曲しました。この曲の中には故郷への想いと、アメリカへの驚きが込められています。
ドロテア ・ミアーもドイツ生まれで、オイリュトミー発展のためにNYに渡った人ですが、毎年クリスマス前になると、とても嬉しそうに帰郷していきます。彼女もヨーロッパ世界とNYの違いから来る違和感、驚嘆すべきアメリカ大陸のエネルギー、そして望郷という念をドヴォルザークと共有し、「新世界より」の精神をオーケストラオイリュトミーのフォルム(動き)に託したのであろうと私は思っています。
2024年9月 にもオイリュトミープロジェクト福岡公演に寄せて