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アイキャッチ画像 シュタイナー学校のエポックノート

高等部の授業について「社会を知る・社会の中で共に生きること」

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  • 社会

2023年09月29日

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坂根 幸子

福岡シュタイナー学園 教員

目次

地球の変化

毎日暑い日が続きます。台風が過ぎ去り、そしてさらに次の台風が来ています。今までにないほどの気候の変化が私たちの生活にかなり影響しているのを実感しています。私たちの在り方がこの地球を変化させ、大きく影響している。科学技術の発展とともにより利便性を追求した生活を送れば送るほど、私たちが地球に還さなくてはいけないものがどんどんと増えていくことになっているのでしょう。

高等部の授業

以前高等部で授業を受け持っていた時、授業の中で環境について取り上げることがありました。東北大震災後、元素について扱う化学の授業では、原子力発電について取り上げました。質問も多々あり、身近な問題に関して、生徒たちは積極的に取り組んでいました。

この時期には映像を見て、考える授業も行います。日本の政府の立場からのもの、フランスの活動家による取材など、1つの事柄に関して様々な角度から光を当てていきます。客観的な事実に関する質問、地震の災害の規模などの客観的な事実に関しては答えがあります。しかし危険性や環境への影響などは捉え方によって様々です。見る方向によって物事は変化します。

細胞の写真
高等部 授業の様子 - 細胞

また生物のエポック授業においては、環境についてどう考えていくかということを、地球温暖化というテーマで取り上げたこともありました。そのとき重要なことは、そこにある問題点の正しい理解と自分がどうするべきかという考えです。主体的に物事に取り組んでいけることが、これから世界と向き合っていく生徒たちに必要なことだからです。こういう内容に関しては、11・12年(高校2,3年)に対して行っていました。より社会のこと、世界のことを考えていく基盤が養われてきているからです。

社会との関わり

私はかつてお世話になったオーストラリアの先生のことを時々思い出します。

彼が日本に来たとき、高等部の教師たちに話をしてくれました。生徒たちはこれから卒業して様々な職業についていくでしょう。大工、バスの運転手、店員などなど。彼らに数学や化学は必要ないかもしれません。(過去に農業なんて必要ないと言った生徒もいましたが…)

しかし本当に必要なことは社会を知ること、そして自分が社会に対して何ができるかを考え、活動していくことだと。そして自ら考えていくための学びとして様々なことを学ぶのだと。そのことが今も私の心に深く刻まれています。

高校生に必要な学び

シュタイナー教育に興味を持っていただいている方々は、お子さんがまだ小さい方が多いと思います。なので高等部?という大きく成長した子どもたちの学びはイメージが湧いてこないかもしれません。
小さな子どもたちにメルヘンの力が必要なように、高校生には現実の社会を知ること、そして主体的に考えていくことが大切な学びとなります。

福岡でも高等部への流れが生まれ、そのための力が注がれています。これから進学し、学んでいく生徒たちの成長がとても楽しみです。

豚の心臓の写真
高等部 授業の様子 - 豚の心臓
エンジン分解の写真
高等部 授業の様子 - エンジンの分解
ライター写真

坂根 幸子

福岡シュタイナー学園 教員

北海道出身、大学卒業後、青森県と北海道で公立学校の理科教員として働く。その後シュタイナー教育の考えに共鳴し、ひびきの村、ミカエルカレッジで2年間の初中等部教員のトレーニングを受け、さらにオーストラリアやニュージーランドのシュタイナー学校で、日本語のアシスタント、エポック授業の見学など、約1年半の研修を終え、帰国後は、北海道のシュタイナー学校で、高等部理科教員として、約10年間勤務し、2019年4月から3・4年生の担任として福岡シュタイナー学園で働く。

福岡シュタイナー学園

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