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バイオグラフィーワークってなあに?

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2022年05月20日

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八尋 恵美

福岡シュタイナー学園 教員

目次

古い写真に写った自分

皆さんは片付けの最中に古い写真が出てきて手が止まってしまったことはありませんか?

ある時、息子たちと自分が写っている20年以上前の写真を見て、「可愛い」と胸がキュンとなったことがありました。赤ちゃんだった息子たちももちろんかわいいのですが、私が一番かわいいと思ったのは30代始めの自分自身に対してでした。毎日毎日子育てに追われ、理想のお母さんとはかけ離れた自分のありように、時には泣きながら子どもの世話をしていた私。一生懸命だったあの頃の自分に対して、そしてこの写真の延長線上に確かに今の自分がいることに、何だかとても不思議で、切ない思いがこみあげてきたのです。

成長の軌跡を振り返る

バイオグラフィーワークとはシュタイナーが提唱した7年毎の人間の発達段階に沿って、私たちの成長の軌跡を見て行くワークです。例えば第2・七年期(0才から7才まで)だったら「その頃よくしていた活動や遊びは?」このようなお題に沿って、クレヨンや水彩、あるいは粘土で一つのシーンを再現した後にグループでシェアする。そのようなアートワークとシーンを語ること、他のメンバーの話に耳を傾けることを主とする、とても素朴なワークです。「自分の過去を語るなんて苦手」「過去を振り返ってどうなるの?」という声もよく聞きます。

楽しかった思い出であれ、苦しかった思い出であれ自分の中に刻印され今の自分のありようを形づくっています。それに気づくことも大切ですが、不思議なのはワークを重ねていくうちに、自分の人生の中でバラバラに存在していた記憶が一つの繋がりを持ち始め、更にはこの世で何をしようと意図して自分がこの世にやって来たのか?、これからの自分はどうやって生きていけば良いのか、そんなことすら見えてくることもあるのです。また一つのシーンを、今の自分が丁寧に見ていくことで、そのころには分からなかった意味が見えてくる。そして、その記憶が昇華されることで自分の人生の軌跡(物語)の、言わば書き直しが起こってくることもあります。

ワークの後には…

ワークの後で「家族に優しくしたくなりました」とおっしゃる参加者もおられます。皆さんの人生をシェアしていただきながら、本当に小さな一歩、小さな気づきから変革は始まるのだなと、共に居ることのできる幸せをかみしめています。

ライター写真

八尋 恵美

福岡シュタイナー学園 教員

自分の未来に希望が持てずにいた20代半ばにシュタイナー思想に出会う。シュタイナー教育を学ぶ育児サークルなどの活動をしていた2003年にバイオグラフィーワークに出会う。近見冨美子主宰バイオグラフィーワーカー養成コース・アントロポソフィー心理カウンセリングファウンデーションコース終了。2020年3月まで福岡シュタイナー学園担任教師を務める。

福岡シュタイナー学園

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