週に一度の野外活動
山口のシュタイナーようちえん"メルヘンこども園"では週に一度野外活動をしていて、公園や海や山へ出かけます。
園の近くには常盤湖という宇部市が管理する湖の周辺を整備した公園があります。
この湖、実は大きなため池なのですが、秋から野鳥がたくさん飛来します。小さな森があちこちにあり、野外展示の彫刻があり、小さな動物園や遊園地もあります。
たくさんの季節の花が一年中私たちを楽しませてくれる市民の憩いの場でもあり、湖畔には遊歩道も整備されていて、たくさんの木々も植えてあります。
この場所と宇部の東にある日の山の登山とそのすそ野にある海岸が私たちの野外活動のフィールドになっています。
デンマークで始まった森のようちえんのように徹底した野外活動はできませんが、私たちはこの公園をこよなく愛していて、天気の良い日は朝から常盤公園の駐車場に集合して半日を過ごします。
木の実拾い
秋になると栗やむかごや胡桃やくぬぎなどたくさんの木の実も実ります。私たちは目を皿のようにして実を探します。
ある時は木の枝まで飛んで、ある時は這いつくばって、ある時は木から木の実を叩いて落とします。こどもたちは一生懸命拾い、大事そうに袋に入れてリュックにしまいます。
ある秋の日
秋のこんなある日、収穫を終えた日の事でした。
いつものように大きな赤松の下にシートを敷いて、その上にリュックを置き、近くに手ぶらで遊びに行きました。
お昼ご飯のためにシートに戻ると、そこにクヌギや椿の傘などが一塊にしておいてあるではありませんか。みんなそれを見て、一様に顔を見合わせました。
『??これ誰の??』
自分のものだというこどもはいません。
すると一人の子が『こびとさんが持ってきたんよ!』と発言。
するとあっちこっちから『そうよ!』『こびとじゃあ!!』と声が重なりました。
木の実取りに奔走している私たちをあたたかく見守ってくださったどなたかからのプレゼントだったのでしょう。
『そうだねえ』と言って、みんなで木の実を分け合って終わったのですが、私はとても暖かい気持ちに包まれました。
不思議な存在
園では『天使さん』や『こびとさん』がよく会話に出てきます。
何か不思議なことや理解できないことが起こる時に使っています。
こどもたちがどんな天使やこびとをイメージしているかわかりません。また、実際にそういう存在があるのかどうかも証明は難しいと思います。
でも、これらの存在はとても不思議だけど、あたたかな清い働きの存在としてこどもの中に定着しているようで、私はこれらの存在がこどもを守ってくれていると感じています。
現代は何でも解明し明らかにしようとする世の中です。
もちろんこれについての異論はありません。
しかしそれは思春期以降の事で、幼いこどもには必要のないことのように思っています。
よくわからない不思議な、でも思いやりのいっぱい詰まった存在を身近なものとして天使やこびとを胸に抱けるこどもたちは、こども自身の雰囲気自体も柔らかく優しいと感じます。
給食などで先生が数を間違ってデザートが余ると『あっ、それは天使さんにあげるんじゃね』というこども達。
天使やこびとは目には見えないけれど、これからもこどもたちを守り活躍してくれることでしょう。